『日立市の再生を考える市民の会』
ホームページへようこそ
日立市庁舎建設計画の凍結を求める要望について
日立市では現在、庁舎の建設計画が進められています。最近公表された内容によると、基本計画がまとまり、今年の秋にも着工される見込みであるとのことであります。総事業費はおよそ105億円を想定し、平成29年1月供用開始されるとのことであります。
市内部においてはこれまで数回にわたり市民懇談会を開催し、市議会においても「市庁舎建設特別委員会」が設置され、審議がなされてきており、着々と既成事実が積み重ねられています。
市としては、このような既成事実により、市庁舎建設の手順は尽くされ、民意が 反映されているとの考えで粛々と進めているようであります。
しかしながら、市におけるこれらの一連の行政手順は最初から現庁舎の老朽化と 耐震対策を庁舎建設理由の第一に掲げ、〝現在地建設ありき〟で進められてきており、市が描く将来像を市民に示し、十分な説明をしたうえで庁舎のあり方について意見聴取を行い、合意形成がなされてきたかという点については、私たちは大いに疑問を感じています。
その第一の理由は、現計画の施設規模は総務省の施設基準に基づいているとして いるものの、将来の行政需要の根本となる20年後、30年後の日立市の想定人口、産業集積量、財政力等の具体的な目標値を設定し、それに応じた施設規模が検討されるべきと考えられるが、そのようなシミュレーションが行われていないこと。したがってシミュレーション結果に基づく施設規模の適切性が判断できないこと。言い換えればシミュレーション結果次第では事業規模が大幅に縮減される可能性が残されていること
第二は、建設場所の問題であります。建設場所については、初めから現在地における建て替え前提でスタートしており、105億円という大型事業である庁舎建設を起爆剤として新しい中心部の形成に活かすという発想が最初から欠けており、例えば日立駅前周辺への移転建て替えの可能性について検討された形跡が見られないこと
第三は政策の優先順位であります。
日立市の置かれている厳しい状況を考えたとき、105億円もの費用をかけて、 この時期に市庁舎を新しくすることが果たして適切なのか、それよりも日立市が今、最優先して取り組むべき喫緊の課題は急減している人口減に何とかして歯止めをかけることではないのか、
これに対する危機感が市政に反映されているとは到底思えません。私たちは 取り組むべき政策の優先順位について大きな誤りがあると考えています。
第四は建設の時機についてであります。現下の社会経済状況はご承知のように震災復興関連事業、政府によるアベノミクス政策の進行やオリンピック関連工事による建設需要の高まり、さらには労務費、建設資機材等の高騰も重なり、全般的に建設工事費が上昇傾向にあり、官公庁による入札不調の話題も珍しくない時勢であります。
したがって、こうした状況下での契約・着工は財政上の大きなリスクが伴うので、時機として適切なのか再考する必要があると考えるものであります。
第五は市民の意思の反映についてであります。
東日本大震災以後、市民は自らの震災復旧に集中せざるを得なかったため、庁舎建て替え問題に意思を反映させるための時間的、精神的余裕がありませんでした。このようなことから、震災復旧が落ち着いて来た中で、庁舎建設について改めて市民の 意思を確認するなど、市民の合意形成を図るための、より丁寧な行政的配慮が必要ではないかと考えます。
以上のように、現在の建設計画には幾多の問題点が見受けられるので、市ご当局におかれては、私たちの問題提起を真摯に受け止め、進行中の市庁舎建設計画を即刻凍結し、原点に立ち返り再検討することを要望するものであります。
私たちはここに本要望に賛同する市民の声を代表して市長の英断を求めるものであります。
以 上
平成25年2月25日
日 立 市 長 吉成 明 様
日立市の再生を考える市民の会
共同代表 山本 忠安
共同代表 高濱 正敏